テストブログ

ここは坂津の実験場です

18.扉をひらく

この扉が外に続いているという保証は無い。

しかしあなたには先に進むという選択肢以外は無いのだ。

この異常事態を切り抜けるための手段を、あなたは持っていない。

廊下の突き当たりにある扉に手をかけ、そして、開いた。

 

ガチャリ

 

書斎のようだった。

周囲を本棚に囲まれた机が、部屋の中央にある。

あなたはその机の上を見て、思わず声を上げそうになった。

電話があったのだ。

通じるかどうかは分からない。

しかし試してみる価値はある。

あなたは受話器を取り、耳にあてた。

 

ツー ツー

 

やった!

音がする!

繋がっている!

 

あなたははやる気持ちを抑え、慎重に、警察へ繋がる番号をコールする。

 

「もしもし、こちら警察です。どうされました?」

 

「もしもし?どうされました?」

 

「・・・いや、しゃべらないんだよ。悪戯?ああ、そうかもしれないな」

 

無情にも警察官が電話を切ってしまうという悲劇を、あなたは知らずに済んだ。

受話器から伸びた鋭い針が、あなたの左耳から右耳へ突き抜けたお陰で。

 

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