この扉が外に続いているという保証は無い。
しかしあなたには先に進むという選択肢以外は無いのだ。
この異常事態を切り抜けるための手段を、あなたは持っていない。
廊下の突き当たりにある扉に手をかけ、そして、開いた。
ガチャリ
書斎のようだった。
周囲を本棚に囲まれた机が、部屋の中央にある。
あなたはその机の上を見て、思わず声を上げそうになった。
電話があったのだ。
通じるかどうかは分からない。
しかし試してみる価値はある。
あなたは受話器を取り、耳にあてた。
ツー ツー
やった!
音がする!
繋がっている!
あなたは
「もしもし、こちら警察です。どうされました?」
「もしもし?どうされました?」
「・・・いや、しゃべらないんだよ。悪戯?ああ、そうかもしれないな」
無情にも警察官が電話を切ってしまうという悲劇を、あなたは知らずに済んだ。
受話器から伸びた鋭い針が、あなたの左耳から右耳へ突き抜けたお陰で。