とにかく気持ちの悪い手のぬめりを拭いたい。
あなたはポケットから取り出した自分のハンカチで、手を拭いた。
ハンカチが湿っているように感じたが、この蒸し暑い部屋のせいでかいた汗だろうか。
あなたは丁寧に、指の一本一本をきれいに拭いた。
やがて手のぬめりがすっかり消え去ったころ、あなたは異臭を感じた。
鼻の粘膜を刺すような強い刺激臭だ。
あなたはとっさにハンカチで鼻と口を覆う!
が、それは失敗だった。
ニオイの出所はそのハンカチだ。
あなたの手に付着していた成分と、ハンカチに染み込ませてあった成分。
単体では無害だが、その二つは決して混ぜてはいけないものだったらしい。
あなたがそれに気付いたかどうかは、誰も知らないが。